この記事で伝えたいこと
・3LDK等の間取り表示を鵜呑みしない
・引き戸にしないと居室にできない
・引き戸の部屋はプライベート性が低い
モデルルーム販売員として、
10年以上、様々な物件を扱ってきました。
その中で、モデルルームを見学に来た客が、
「これ3LDKじゃないよね?」
と言われるタイプのマンションがあります。
具体的には下図の様な間取りのタイプです。
見学客が、部屋数に不満を言う理由は、
リビングに隣接する部屋にあります。
部屋の入口は引き戸になっていて、
しかも和室の襖の様に大きいです。
上の間取り図の部屋ではありませんが、
引き戸の部屋からリビングを見た写真です。
壁が殆ど無く、プライベート性が低いので、
そのように言われます。
一戸建と比べ、
マンションは引き戸の部屋が多いです。
本記事により、その理由を知ることで、
戸建には無い間取りの特徴が分かります。
そうすれば今後、間取り図を見た時に、
今までとは違った見え方がする筈です。
マンションは引き戸が多い理由
マンションの部屋に引き戸が多い理由は、
法律上そうしないと居室と言えない為です。
建築基準法で窓のない部屋は、
居室と表記できません。
先程のリビング隣の洋室には窓がないので、
法律上、間取り表記は2LDKになる筈です。
しかし、この法律には特例があります。
窓のある部屋との間に、引き戸などで、
随時開放できれば居室にできます。
そして、その引き戸の大きさは、
間口の半分以上にする必要があります。
以上の理由から、窓の無い部屋は
大きな引き戸にするしか無いのです。
営業マンは、この制約を逆手に取り、
『引き戸を開けると広い部屋にできます!』
と言っていますが、
実はこうするしか無いのです。
ここをドアにしたら、その部屋には
居室と表記できなくなるだけでなく、
TV端子や電話回線を設置できなくなります。
(その場合は、サービスルーム、DEN等と表記してます)
内廊下マンションは引戸が多い
引き戸の部屋は高級マンションで採用される
内廊下のマンションで多く見られます。
内廊下の場合、
廊下側に居室を設けることができません。
それは廊下も建物内になるので、
窓を設けても、居室と認められない為です。
先程の間取りは田の字型と呼ばれ、
廊下側に2室設けた構成です。
この間取りは外廊下でないとできません。
つまり、内廊下マンションには
田の字型の間取りが無い事が分かります。
そのため、部屋数を確保するために、
引戸を設け、窓のある部屋に隣接させます。
下図は内廊下タイプの間取りの一例です。
こちらは3LDKと表記されますが、
ドアのある完全な個室は1部屋です。
リビングの形が、いびつな理由は、
窓のない部屋との開口部を設ける為です。
引き戸の部屋は殆ど壁が無い為、
防音性は低く、光も漏れるので、
プライベート性が低いです。
この部屋を子供部屋にした場合、
小さいうちは良いですが、
年頃になると嫌かもしれません。
物件選びの際は、間取り図を見たら、
引き戸があるかチェックして下さい。
引き戸部屋はプライベート性が低い事を
考慮に入れた上で、その部屋をどう使うか
考えるようにして下さい。
理想の間取りを手に入れるには
マンションの間取りは制約が多く、
希望の間取りは簡単には見つかりません。
そのため、販売前の情報を入手する事で、
誰も契約していない選択肢の豊富な段階での
物件選びが必要となります。
販売開始予定の情報は、
不動産会社の友の会で入手できます。
会員になると、抽選になった場合、
優遇される場合もあるので、おすすめです。
各不動産会社の友の会については、
下記で解説しています。
<モデルルーム営業マンの裏事情解説です>